• 奥平智之

栄養精神医学におけるレジリエンスとは?



 精神医学においてレジリエンス(resilience)に決まった訳語はないが、筆者のレジリエンスの定義は「ストレス耐性+自己治癒力」である。レジリエンスは、元々ストレスと同じく物理学の用語で、ストレスは外力による歪みを意味し、レジリエンスはその外力による歪みを跳ね返す力として使われ始めた1)。

 「ストレス耐性」とは、様々なストレッサーがあっても、うつ病などの精神疾患が発症または再発しないためのストレスに対する抵抗力のことである。また、逆境や困難から立ち直る力でもあり、日常的なストレスに対処する力とも言える。つまり、ストレス耐性の向上は、精神疾患の発症や再発の予防につながる。

 次に、「自己治癒力」であるが、治療過程において、精神疾患から回復するための力を指す。精神疾患を発症しても、自己治癒力を最大限に発揮できる状態を目指すことで、必要最小限の薬物療法にできると考えられる。

 認知行動療法などの介入もレジリエンスを向上させるが、筆者は、見逃されがちな鉄欠乏などの栄養学的な問題の解決や腸管の状態の良化が、レジリエンスを大きく向上させると考えている。ここではレジリアントな人の特徴の一つとして「栄養や腸管が良い状態」を強調したい。   

引用・参考文献

1)加藤敏, 八木剛平:レジリアンス 現代精神医学の新しいパラダイム. p9, 金原出版, 2009.

2)奥平智之:栄養精神医学(2)鉄欠乏改善でレジリエンスの向上を!.精神看護(21)3:264-271, 2018


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