「栄養精神医学」連載

〜精神看護(医学書院)〜

栄養精神医学・連載1

貧血がなくても鉄不足でメンタル不調

《文献概要》

この連載が目指すこと

 私が栄養や食事に関心を持ったのは、父が鍼灸師で幼い頃から東洋医学に触れ、体質改善の視点を大切にしていたからである。大学の精神科に入局した後も、東洋医学科の外来を長年担当してきた。そして東洋医学的な食養生だけでは不十分と感じ、現代医学的な栄養学も積極的に学ぶようになった。実際に精神科臨床において、食事や栄養の大切さを実感するようになり、もっと多くの医療従事者に関心を持ってもらいたいと思うようになり、今回、このような連載の機会をいただいた。本誌の連載を通じて、1人でも多くの方に、食事・栄養・腸管の分野に興味関心を持っていただければ幸いである。

精神看護 21巻2号 (2018年3月)

pp.158-164

発行日 2018年3月15日

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200454

奥平智之:栄養精神医学(1)貧血がなくても鉄不足でメンタル不調.精神看護(21)2:158-164,2018.3

栄養精神医学・連載2

鉄欠乏改善でレジリエンスの向上を!

《文献概要》

栄養精神医学におけるレジリエンス

 精神医学とは、各種精神疾患に関する診断、予防、治療、研究を行う医学であるが、「栄養精神医学」は、精神症状・身体症状・向精神薬に対する食事・栄養・腸管による影響を考える精神医学の一分野である。

 食事や栄養の影響で精神症状がより重症化していたり、腸管の状態が経口薬の血中濃度に影響を与えていたり、腸内環境の悪化が精神症状に影響していたりすることがある。精神疾患の患者の症状に対して、身体的な要因である栄養学的な影響を考慮する必要があるが、実際の精神科臨床ではあまり考慮されていない。その結果、症状が遷延または難治化していたり、ベンゾジアゼピン系をはじめとした向精神薬の多剤の一因にもなっていたりする可能性がある。そのため、必要な検査をきちんと行い、栄養学的な要因を考慮することで治療効果が高められると考えられる。食事や栄養面での改善を行っても、腸管の状態が悪かったり、食欲がなかったりすると、栄養学的な治療はうまくいかない。そのような場合は、腸管や食欲の回復につながる薬膳や漢方生薬の活用も積極的に考慮されるとよい。

精神看護 21巻3号 (2018年5月)

pp.264-271

発行日 2018年5月15日

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200481

奥平智之:栄養精神医学(2)鉄欠乏改善でレジリエンスの向上を!.精神看護(21)3:264-271,2018.5

栄養精神医学・連載3

妊娠・出産における鉄欠乏を見逃すな!

《文献概要》

「鉄」は妊娠・出産に重要なミネラル

 鉄はメンタルヘルスにおいて大切なミネラルであるが、妊娠・出産においては特に重要である。妊娠すると鉄の必要量が増えるため、鉄欠乏は妊娠中や産後のうつ状態などの精神的な不調の一因となる。次号で詳しく述べるが、胎児の成長や中枢神経系の発達には鉄が必須であり、鉄欠乏状態での妊娠・出産は、早産や低出生体重、発達障害、統合失調症圏の発症などのリスク要因となる可能性がある。母親の心身を守るためだけではなく、産まれてくる子どもを守るためにも、鉄の理解は深めておきたい。

 世界保健機関によると、鉄欠乏症は世界で最も多い栄養障害であり世界人口の約8割が鉄欠乏症、約3割が鉄欠乏性貧血である。鉄の必要量が多く鉄欠乏性貧血を発症するリスクが高いのは、有経女性、妊婦、早産児・低出生体重児、生後6か月以上の乳児・幼児である。

栄養精神医学・連載4

鉄欠乏の子ども(テケコ)を救え!

《文献概要》

見逃されている鉄欠乏子供

成長期の子どもは鉄欠乏が多い。

鉄欠乏が子どもの精神症状に与える影響について概観する。

貧血にまで至っていなくても鉄欠乏状態であるために精神症状がみられることがある。これから妊娠、出産予定の方やすでにお子さんをお持ちの方には、特に、鉄欠乏の影響を理解していただきたい。

精神看護 21巻5号 (2018年9月)

pp.511-515

発行日 2018年9月15日

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200536

奥平智之:栄養精神医学(4)鉄欠乏の子ども(テケコ)を救え!.精神看護(21)5:511-515,2018.9

栄養精神医学・連載5

栄養型うつ〜食事がメンタルヘルスに関係していることに気づいてほしい〜

《文献概要》

「栄養型うつ」とは「栄養の問題が原因のうつ状態」があることを1人でも多くの方に知ってほしいという意図で、筆者が作った言葉である。

精神医学上の病名ではなく、あくまでも状態を示すもの。臨床の現場で使えば、栄養とうつが密接にかかわっているということが伝わりやすいと思う。

 この言葉を使って、私は予防と治療の観点で、栄養面がとても大切だということを広めていきたい。

精神看護 21巻6号 (2018年11月)

pp.620-626

発行日 2018年11月15日

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200558

奥平智之:栄養精神医学(5)栄養型うつ.精神看護(21)6:620-626,2018.11

栄養精神医学・連載6

「栄養型うつ」の種類と対策

《文献概要》

知っておきたい、栄養とうつ状態との関係。

前号はいろいろな栄養素がうつ状態に関係していることや、その理由について話をしましたが、今回は、栄養型うつには種類があることを話したい。

「栄養型うつ」という言葉ではおおざっぱすぎて、患者さんも何をしていいかわかりません。実際には1つの栄養素ではなく、複数の栄養素に問題があることが多いですが、理解と行動を促すために、欠乏している栄養素を大きく6つのタイプに分けて患者に説明している。

精神看護 22巻1号 (2019年1月)

pp.97-103

発行日 2019年1月15日

https://doi.org/10.11477/mf.1689200580

奥平智之:栄養精神医学(6)「栄養型うつ」の種類と対策.精神看護(22)1:97-103,2019.1

栄養精神医学・連載7

血液検査を栄養学的に活用する—ビタミンB群とタンパク質を中心に

《文献概要》

「栄養型うつ」は食事で治す!血液検査を栄養の観点から活用

 ビタミンB群やタンパク質、コレステロール、鉄、亜鉛、マグネシウム、ビタミンDなど、どの栄養素の問題でも、うつ状態となる可能性がある。精神科において、血液検査を栄養面からも活用し、積極的な食事や栄養の指導がなされることが理想的である。“栄養”と“うつ(状態)”が関係していることを、1人でも多くの方に知っていただきたいと思い、「栄養型うつ」という言葉を使って注意喚起をしている。血液検査の結果がすべて検査会社の参考基準値内であっても、そこに栄養の問題が隠れているかもしれない。

精神看護 22巻2号 (2019年3月)

pp.194-199

発行日 2019年3月15日

https://doi.org/10.11477/mf.1689200599

奥平智之:栄養精神医学 (7) 血液検査を栄養学的に活用する~ビタミンB群とタンパク質を中心に~精神看護(22)2,194‐199,2019.3

栄養精神医学・連載8

鉄欠乏は炎症の有無で対応策が変わる—血液検査で微細な炎症を見逃さない

《文献概要》

貧血がなくても鉄欠乏状態ではイライラ、不安などの精神症状が出る可能性をこれまでの連載でお伝えしてきた。では鉄欠乏の状態かどうかはどのように判断すればよいのだろうか。そしてどのような対応策をとればよいのだろうか。それはじつは「炎症」の有無で変わってくる。鉄代謝は「微細な炎症」にも影響を受ける。鉄欠乏には「機能的鉄欠乏」と「絶対的鉄欠乏」がある。

精神看護 22巻3号 (2019年5月)

pp.293-299

発行日 2019年5月15日

https://doi.org/10.11477/mf.1689200621

奥平智之:鉄欠乏は炎症の有無で対応策が変わる—血液検査で微細な炎症を見逃さない.栄養精神医学 (8) 精神看護(22)3,293‐299,2019.5

栄養精神医学・連載9

精神科における亜鉛欠乏と血液検査の解釈

《文献概要》

 亜鉛はストレスと密接に関係している。亜鉛欠乏の状態はメンタル不調を引き起こしやすくなる。この事実を患者さんにわかりやすく伝えるために、亜鉛欠乏症に伴ううつ状態を「亜鉛欠乏うつ」と名付け、亜鉛欠乏のチェックをしてもらっている。

 亜鉛は、細胞分裂に必要なミネラル。そのため、舌にある味蕾・嗅覚系組織・腸管などの粘膜、皮膚や赤血球、前立腺や精子、記憶に関係する海馬の神経など、細胞の入れ替わりが早い組織で不足しやすい傾向がある。性ホルモンに必要なので、女性では月経不順、男性では精力減退につながり、精子の量やテストステロンが低下する。また、免疫力を高めたり、創傷の修復促進にかかわったりしている。

精神看護 22巻4号 (2019年7月)

pp.424-429

発行日 2019年7月15日

https://doi.org/10.11477/mf.1689200648

奥平智之:精神科における亜鉛欠乏と血液検査の解釈.栄養精神医学 (9) 精神看護(22)4,424‐429,2019.7

栄養精神医学・連載10

「ビタミンD欠乏うつ」を問診で見抜く

《文献概要》

 ビタミンD欠乏がメンタル不調の一因となる可能性がある。筆者はビタミンD欠乏に伴ううつ状態を「ビタミンD欠乏うつ」と名付け、日常診療ではビタミンDのチェックリスト(表1)を用いてメンタルヘルスとの関連性をわかりやすく伝えている。

 紫外線β波が皮膚に当たると、コレステロールからビタミンDが生成される。そのため、日照時間の短い季節や、過度な紫外線カットはビタミンD欠乏を引き起こしやすく、うつ状態につながることがある。冬から春にかけて心身の不調が多くなる患者には、ビタミンD欠乏がないか確認しておきたい。入院患者で注意すべきは、紫外線β波はガラスを貫通しないため、屋内で窓越しに日光に当たってもビタミンDは生成されないという点である。食事からビタミンDを摂取するには、サケ、マイワシ、サンマ、マガレイなどを意識して摂りたい。

精神看護 22巻5号 (2019年9月)

pp.514-520

発行日 2019年9月15日

https://doi.org/10.11477/mf.1689200669

奥平智之:「ビタミンD欠乏うつ」を問診で見抜く.栄養精神医学 (10) 精神看護(22)5,514‐520,2019.9

栄養精神医学・連載11

精神科患者における

腸管と栄養学的な問題

《文献概要》

精神科患者に見られる腸の問題

 精神科患者は、さまざまな要因により腸の状態が悪いと推測される。統合失調症などの精神科患者の腸へ悪影響を及ぼし得るものを示す。

 経済的な理由などでおかずが少なく、糖質中心の食事になっている人が多い。さらに、お菓子をたくさん食べ、清涼飲料水を多飲している人も多い。栄養価の少ないものでお腹をいっぱいにしている傾向がある。肉や魚を食べても、よく噛まずに早食いで十分に消化できず、胃腸に負担をかけている人も多い。SIBO、リーキーガット、グルテン・カゼイン、カンジダなどを取り上げる。

精神看護 22巻6号 (2019年11月)

pp.608-613

発行日 2019年11月15日

https://doi.org/10.11477/mf.1689200692

奥平智之:.栄養精神医学 (11) 精神看護(22)6,608‐613,2019.11

栄養精神医学・連載12

​血糖調節障害、コレステロール欠乏、マグネシウム欠乏

《文献概要》

血糖が乱高下することによる血糖調節障害は、精神症状に影響する。1.5AGやグリコアルブミンは、血糖調節障害の参考になる。

また、総コレステロールが低すぎるのも、精神症状に影響を与える可能性がある。低コレステロールは、全般的な栄養欠損を反映している。

マグネシウムは、細胞内に多いので、マグネシウムの欠乏は、血液検査では見逃されやすい。マグネシウム欠乏は、筋肉や精神症状に影響する。

精神看護 22巻6号 (2020年1月)

pp.94-99

発行日 2020年1月15日

https://doi.org/10.11477/mf.1689200714

奥平智之:.栄養精神医学 (12) 精神看護(23)1,94-99,2020.1

© 2019 by Dr. Tomoyuki Okudaira

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