【腸内微生物叢の役割】
腸には約100兆個の微生物が生息しています。その多くは細菌です。微生物叢(そう)とは、微生物のコミュニティのことです。
腸内微生物叢が食物繊維なで生産する短鎖脂肪酸(SCFA)には、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩があります。酪酸塩は、ヒト結腸細胞の主なエネルギー源であり、結腸癌細胞のアポトーシスを誘発し、腸の糖新生を活性化でき、グルコースおよびエネルギー恒常性に有益な効果をもたらします。プロピオン酸塩は肝臓に運ばれ、そこで腸の脂肪酸受容体との相互作用を介して糖新生と満腹信号を調節します。酪酸とプロピオン酸は、腸内ホルモンを制御し、マウスの食欲と食物摂取を減少させます。
食餌性ホスファチジルコリンおよびカルニチン(肉および乳製品)からのトリメチルアミンの生産は腸内微生物叢に依存するため、血中の量は人によって異なります。トリメチルアミンは肝臓でトリメチルアミンN-オキシドに酸化されます。これは、アテローム性動脈硬化症と主要な有害な心血管イベントのリスクの増加に関連しています。また、スクラロース、アスパルテーム、およびサッカリンは、腸内微生物叢のバランスと多様性を混乱させることが示されています。
制酸剤であるプロトンポンプ阻害剤を服用している人は、胃腸感染率が高くなることが報告されています。
近年、糞便移植の研究が進んでいます。メタボリックシンドロームのレシピエントに、健康なドナーからの糞便を移植すると、自家糞便を使用するよりも、微生物叢の組成の変化を伴うインスリン感受性が向上しました。
Valdes AM, Walter J, Segal E, et al.Role of the gut microbiota in nutrition and health.BMJ,Jun 13;361:k2179,(2018)
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