汗っかきで困っているひと、いませんか? 自分の体質に合った漢方に出会うことができれば、漢方薬が役にたつかもしれません。
●汗を多くかくこととは
多汗症や汗疹は発汗異常の一つと捉えられます。
発汗は大きく温熱性の発汗と精神性の発汗とがあり、自律神経の支配下にあります。
種々の神経障害、自律機能の変化により発汗の異常が起こります。
●多汗症(発汗異常)の漢方薬
発汗異常の漢方治療は発汗状態を重視し、これにより患者を区別していきます。
具体的には発汗部位(全身、頭部、背部、手足など)と汗の出方(自汗、無汗、盗汗、労汗、漏汗)などで分けられます。
また、全身性の多汗症で糖尿病など原因の疾患がある場合にはそれぞれの治療が優先になります。
〇「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 」
比較的体力のある方に使用します。
臍(へそ)の上部や下部に動悸があって便秘傾向があり、不眠、多夢、不安、抑うつ気分などの症状がある場合に使用します。
腰から下が何となく重いという症状もこの漢方薬を使用する目安になります。
のぼせを改善する桂皮、利尿作用を有する茯苓、鎮静作用のある竜骨・牡蛎を配合しています。
メーカーによっては大黄を含んでいる場合といない場合とがあります。
〇「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) 」
体力が普通の方に使用します。
皮膚の色が浅黒く慢性の炎症性諸疾患を起こしやすい場合に使用します。
また、手のひらや足裏の発汗、筋緊張の亢進、神経過敏の伴う場合にも使用します。
〇「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」
比較的体力のある方に使用します。
下部腹直筋の外側が緊張し、排尿障害や手のひらや足の裏に汗をかいたりする場合に使用します。
構成生薬を見ますと竜胆(りゅうたん)、黄芩(おうごん)、山梔子(さんしし)には清熱作用があり、当帰には血流改善作用があります。
●汗疹の漢方薬
多汗の方に多く、高血圧で体幹、四肢に小水疱あるいは紅色丘疹が多発するもので乳幼児に多いです。
行水や入浴を行い、皮膚を清潔にし、涼しい環境を与えると軽快します。
〇「消風散(しょうふうさん) 」
比較的体力のある方に使用し、亜急性・慢性の皮膚疾患、患部に熱感があり、分泌物が多く湿潤・発赤、激しい掻痒感、温まると症状が悪化する場合に使用します。
荊芥(けいがい)と防風(ぼうふう)には清熱作用があり、木通(もくつう)、朮(じゅつ)は利水作用を有しています。
湿熱を治す漢方薬です。
〇「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) 」
体力が普通、またはある方に使用します。
解毒機能や排膿機能の低下を改善する漢方薬です。
炎症性、化膿性の皮膚疾患に使用します。
アレルギー体質の方にも使用します。
患部は発散性あるいはびまん性の発疹で覆われ、乾燥し、滲出液は少なく、激しい掻痒感、化膿を伴う場合に使用します。
〇「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) 」
体力のない方に使用します。
防已(ぼうい)と黄耆(おうぎ)という生薬が主に利水作用があり、浮腫を取り除く働きがあります。
ブクブク肥り、色白で他飲多汗し息切れしやすいタイプの方に使用します。
症状としては、変形性関節症など水分を取り除くと軽くなるものに使用されるケースが多いです。
〇「黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう) 」
体力のない方に使用します。
易疲労感や虚弱、元気がないことや腹部が軟弱な事が使用のポイントです。
ねあせなどの症状に使用します。
黄耆(おうぎ)が止汗作用、利水作用を有しているのでむくみ、ねあせの解消などに使用されます。
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