• 奥平智之

腸と脳の双方向ネットワーク





【腸と脳の双方向ネットワーク】

 100兆個の細菌が成人の体内に存在するが、その80%が腸にあり、人体の細胞の約10倍と考えられています(de Vos, Willem M., and Elisabeth AJ de Vos. "Role of the intestinal microbiome in health and disease: from correlation to causation." Nutrition reviews70.suppl_1 (2012): S45-S56.)。  腸内細菌は腸上皮細胞の再生を刺激し、粘液を生成し、『短鎖脂肪酸』を生成することによって粘膜に栄養を与え、腸の障壁を構成しています(Burger-van Paassen N, Vincent A, Puiman PJ, van der Sluis M, Bouma J, Boehm G, et al. The regulation of intestinal mucin MUC2 expression by short-chain fatty acids: Implications for epithelial protection. Biochem J. 2009)。


 腸内細菌は、特定の栄養素、ホルモン、ビタミンの腸内合成と代謝、および薬物と毒物の除去に大切な役割を果たします。


 また、腸内細菌は、免疫系を刺激し続け、「軽い生理学的炎症」状態に至ります。これは、病原体から生体を守るためのシステムです(Rakoff-Nahoum S, Paglino J, Eslami-Varzaneh F, Edberg S, Medzhitov R. Recognition of commensal microflora by toll-like receptors is required for intestinal homeostasis. Cell. 2004;118:229–41.)。


 腸内細菌と脳の関係は、双方向通信ネットワークです。 その組成には、腸内細菌とその代謝産物、腸内の腸管神経系(ENS)、交感神経および副交感神経枝、神経免疫系、神経内分泌系、および中枢神経系が含まれます。 さらに、腸内細菌と脳の間の通信には、①腸と脳を結ぶ神経経路(脊髄の自律神経系、迷走神経、腸内の腸管神経系)、②神経内分泌-HPA(視床下部-下垂体-副腎)軸、③腸の免疫システム、③腸内細菌によって合成される神経伝達物質と神経調節因子、および④腸粘膜バリアと血液脳関門。以上の5つの経路が考えられます。 脳は、腸の動き、感覚および分泌機能に影響を与え、逆に腸からの内臓信号は脳に影響を与えます。 腸内細菌と脳の間の直接的な神経伝達は、主に迷走神経を介して行われます。 例えば、迷走神経が活性化すると、抗炎症効果につながります。 迷走神経の活動が、脳機能に対する多くの腸内細菌とプロバイオティクスのプラスの効果を支えています。 逆に、私たちは長期的に精神的ストレスが加わると、腸内細菌叢の組成の悪化につながります(Barouei J, Moussavi M, Hodgson DM. Effect of maternal probiotic intervention on HPA axis, immunity and gut microbiota in a rat model of irritable bowel syndrome. PLoS One. 2012;7)。


Hong-Xing Wang, et al. 2016参照

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