• 奥平智之

アルツハイマー型認知症と亜鉛


【アルツハイマー型認知症と亜鉛】

亜鉛(Zn)は、加齢によって減少し、アルツハイマー病によってさらに減少します。


亜鉛は、グルタミン酸作動性神経(海馬や大脳新皮質などに多い)に多く含まれ、グルタミン酸分泌を調節しています。グルタミン酸は、脳内の興奮性の神経伝達物質です。 グルタミン酸濃度が過剰になり、神経細胞が長期に興奮すると、神経細胞に毒性をもたらし、最終的には神経細胞が死んでしまいます。


銅過剰はその毒性により、アミロイドプラーク(アミロイドのかたまり)の増加につながります。そして、アミロイドプラークは、神経で使われている亜鉛と結合し、亜鉛を枯渇させてしまう可能性があります (Kamil,2011)。


また、タンパク質と結合していない遊離銅は、アミロイドと呼ばれる異常蛋白質の沈着(アミロイドーシス)を促進し、フリーラジカル(活性酸素)発生させます。(Nestor,2004)。 そのため、銅過剰による酸化ストレスは、アルツハイマー病のリスク因子の一つとなります。


一方、亜鉛は、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD:細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素)の必須成分で、抗酸化に働きます(Tapiero, 2003)。 そのため、亜鉛をしっかり摂ることが、アルツハイマー病の治療に結び付く可能性があります。


アルツハイマー病の遊離銅過剰に対して、亜鉛の摂取(50㎎/日) は、銅のキレート剤を使うより、安全な治療法となるでしょう(Tjaard,2011)。


日本栄養精神医学研究会 奥平智之講義より

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