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  • 執筆者の写真奥平智之

遅延臍帯クランプにより新生児の鉄欠乏リスクが改善

遅延臍帯クランプ は、早期臍帯クランプに比べ生後4ヵ月における鉄欠乏の発生を改善し、新生児貧血 を抑制することが期待できます。


★出生時の

臍帯クランプ を2~3分遅らせて行うことで、胎盤から新生児への血流が増加します。


鉄欠乏性貧血 の発生頻度が高い国では、遅延臍帯クランプによって 新生児 の生後数ヵ月間の鉄の状態が改善することが示されています。

貧血には至らなくとも鉄の欠乏は『幼児 の発育不全』を引き起こすことが知られています。


●遅延臍帯クランプの鉄の状態への効果を検討する無作為化試験●


研究グループは、ヨーロッパにおける生後4ヵ月児の鉄の状態に及ぼす遅延臍帯クランプの効果を、

早期臍帯クランプ と比較する無作為化対照比較試験を行いました。


対象は、2008年4月~2009年9月までにホランド病院において低リスク 妊娠 で満期出生した新生児です。

これらの幼児が、出生から180秒以上経過後に行う遅延臍帯クランプ群あるいは10秒以内に行う早期臍帯クランプ群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、4ヵ月のフォローアップが行われました。


主要評価項目は生後4ヵ月における

ヘモグロビン および鉄の状態(血清フェリチン値に基づく)、副次的評価項目は新生児貧血、早期呼吸器症状、赤血球増加症、光線療法の適応などでした。


鉄欠乏:0.6% vs. 5.7%、新生児貧血:1.2% vs. 6.3%


400人の新生児が登録され、両群に200人ずつが割り付けられました。

生後4ヵ月の時点で、両群間にヘモグロビン濃度の有意な差はありませんでしたが、

遅延臍帯クランプ群で平均 フェリチン 濃度 が45%(95%信頼区間:23~71%)高く(117μg/L vs. 81μg/L、p<0.001)、鉄欠乏の発生率は有意に低かった[0.6%(1人)vs. 5.7%(10人)、p<0.01、相対リスク低下:0.90]。


生後2日における新生児貧血の発生率は遅延臍帯クランプ群で有意に低かった[1.2%(2人)vs. 6.3%(10人)]、p=0.02、相対リスク低下:0.80)。

早期呼吸器症状、赤血球増加症、光線療法を要する高ビリルビン血症の発生率は両群間に有意な差はありませんでした。


結論

遅延臍帯クランプは、早期臍帯クランプに比べ生後4ヵ月における鉄の状態および 鉄欠乏 の発生を改善し、有害事象を増加させることなく新生児貧血の発生を抑制した。


貧血には至らなくとも、新生児の鉄欠乏は 発育不全 を引き起こすため、遅延臍帯クランプはヨーロッパのような 鉄欠乏性貧血 の発生率が相対的に低い地域でも、満期出生幼児にベネフィットをもたらすと考えられる。


BMJ誌2011年12月17日号 オンライン版2011年11月15日号

Andersson O et al. Effect of delayed versus early umbilical cord clamping on neonatal outcomes and iron status at 4 months: a randomised controlled trial. BMJ. 2011 Nov 15;343:d7157. doi: 10.1136/bmj.d7157.




鉄欠乏










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