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  • 執筆者の写真奥平智之

急性ウイルス性呼吸器感染症の発症リスクを抑えるビタミンD血中濃度は?

更新日:2020年4月13日


ビタミンDと言えば、「鮭」、青魚(いわし、さんま、あじなど)、かれい(まがれいなど)、うなぎ、きのこ類(干ししいたけ、きくらげなど)、卵など・・・ですが、日光にしっかり当たらずに食事だけでは、ビタミンDの血中濃度を十分に高めて維持するのはかなり大変です。

ビタミンD血中濃度(25(OH)VD:25ヒドロキシビタミンD)濃度は、30ng/ml未満でビタミンD不足、20ng/ml未満でビタミンD欠乏とされています。


ビタミンDの急性ウイルス性呼吸器感染症に対する有意な効果があるか否かについては、試験のデザインにより結果はばらつきがあるものの、SabettaJRらの研究では、急性ウイルス性呼吸器感染症においてビタミンDの血中濃度を38ng/ml以上に上げておいた方がよいとされています。


私の栄養外来に受診した方の半分以上の方が20ng/ml以下です。

長期入院中の男性患者さんにおいてはほぼ全員が20ng/ml以下で、4割の方が1桁の重度ビタミンD欠乏でした。

外来も入院もサプリを飲んでいる方を除くと、38ng/ml以上の方は、ほとんどいません。


室内で仕事をしている多くの人は、20ng/ml未満だと思います。


マクロファージや内皮細胞による抗菌ペプチド(①カテリシジン・②βデフェンシン)の産生を助ける作用がビタミンDにはあります。

25(OH)ビタミンDは、ウイルス刺激と細菌刺激の両方に反応して抗菌ペプチドの誘導をサポートします(Hansdottir S, 2008.Olliver M,2013.Greiller CL, 2015)。



 また、外来では、花粉症(アレルギー性鼻炎)の方も増えてきました。

免疫系の調整にもビタミンDは非常に重要な役割を果たしています。

ビタミンDは人間の免疫システムの調節因子で、多くの免疫疾患はビタミンDレベルに関連しています。

「血液栄養解析を活用 うつぬけ食事術」の書籍では、ビタミンDの理想値(青信号)は、40~60ng/mlとしています。30未満を赤信号としています。この時期は、ビタミンD濃度「40」を目指したいところです。


 (ちなみに、骨密度、下肢機能、歯の健康、転倒、骨折、結腸直腸癌のリスクに関連して血清25(OH)D濃度の閾値を評価した研究からは、「40」ng/ml程度が最適でした。(Bischoff-Ferrari HA,2006)。)



★コロナ感染と花粉症の時期です。ビタミンDを意識して摂取して免疫力を高めておいた方が良さそうです。


Sabetta JR, DePetrillo P, Cipriani RJ, Smardin J, Burns LA, Landry ML. Serum 25-hydroxyvitamin d and the incidence of acute viral respiratory tract infections in healthy adults. PLoS One. 2010;5(6):e11088.





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