消化率・吸収率および体内利用率を考慮した生体利用効率の値が重要です。
日本人の食事摂取基準において、ビタミンB6・B12・葉酸の食事摂取基準は、生体利用率を考慮して策定されています。
葉酸の多くは「野菜」に含まれています。
日本人を対象としたこちらの実験では、日本の葉酸サプリに対する食事性葉酸(天然葉酸:Folate)の相対生体利用率は「50%」 と報告されています。逆に言えば、食事性葉酸に比べて日本の葉酸サプリ(人工葉酸:Folic Acid)は2 倍程度の生体利用率を有すると計算されます。
これらの結果に基づき、「食事性葉酸当量(dietary folate equivalents:DFE)」という考え方を採用し、次式を用いた上で、食事性葉酸当量として摂取すべき量を設定しています。
●食事性葉酸当量(1 µg)=通常の食品に含まれる葉酸(1 µg)
=通常の食品以外の食品に含まれるサプリなどの葉酸(0.5 µg)〔空腹時(胃内容物がない状態)に摂取する場合〕
=通常の食品以外の食品に含まれるサプリなどの葉酸(0.6 µg)(食事とともに摂取する場合)
食事摂取基準では、推定平均必要量及び推奨量は通常の食品から摂取される葉酸を対象として設定し、耐容上限量はサプリメント等から摂取される葉酸を対象として設定されています。
葉酸欠乏である巨赤芽球性貧血を予防するための濃度を維持できる食事性葉酸の最小摂取量は、200 µg/日なので、それを成人の推定平均必要量としています。
推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた 240 µg/日となっています。
人工葉酸の過剰摂取は、天然葉酸と競合することにより、体内における天然葉酸の代謝・細胞輸送・調節機能を妨害する可能性があります。
人工葉酸の過剰摂取には注意しましょう。
ビタミンB12については, 主要な排泄経路が尿ではなく腸管であることから、尿ではなく別の方法で相対利用率を測定する必要があります。
上記は、パン食を主食の場合の数値ですが、米を主食としたときの相対利用率と近似した値でした。
米国人を被験者とし、脂肪エネルギー含量が 40%程度の高脂肪食の食事では、ビタミンB6が75%、 パントテン酸が 50%程度です。
福渡努ら. パンを主食とした食事中に含まれる水溶性ビタミンの遊離型ビタミンに対する相対利用率. 日本家政学会誌. 2009; 60(1): 57-63.
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