「レビー」って聞いたことありますか?
一番、注意するべき認知症のタイプであり、周辺症状の改善により一番家族から感謝される認知症です。
一番、お薬の副作用に気をつけなければいけない認知症です。
レビー小体型認知症の患者さんは、お薬に「過敏」な傾向があります。
ひどい例だと、風邪薬でも、意識がなくなることがあります。
逆に言うと、少量のお薬や漢方で劇的に良くなるのも、レビー小体型認知症です。
★発症は、65歳以上の高齢者に多くみられますが、40~50歳代の例も少なくありません。
覚醒状態は日々変化し、はっきりしているときもあれば、短期記憶が失われている日もあります。
記憶障害は初期には記銘や保持に比べて、想起の障害(思い出せない)が目立つとされています。
認知機能障害は、記憶障害の他に、初期から前頭葉・頭頂葉機能障害に由来する症状(注意障害、視空間障害、構成障害、実行機能障害)を伴うのが特徴です。
振戦がみられても安静時の振戦は目立たず、動作時振戦やミオクローヌス(自分の意志とは無関係な運動を起こす不随意運動)が時に認められるような例があります。
嗅覚障害は、歯車様の筋硬直などのパーキンソン症状に数年先だって出現します。
歯車様とは、患者さんの腕をとり、軽くひじを曲げてみると、カクン・カクンと歯車が噛み合わさって動いているかのような、手応えを感じます。
このようなパーキンソン症状はみられない人もいます。
これが早期にみられる認知症は、まずレビーを疑います。
レビー小体型認知症の約1/3の例で、記憶障害が始まる8~9年前から嗅覚障害を認めます(Fujishiro,2007)。
アルツハイマー型認知症と比べて、においを識別できない人が多く、より重度です。
「幻視」は、特徴的です。誰もいないのに、「人がいる」「人物や小動物が家の中に入ってくる」といいいます。
レム睡眠行動障害は、2017年改定の診断基準より中核症状となりました。
レム睡眠期に出現するべき「骨格筋緊張の抑制」を欠くために異常なレム睡眠が生じます。
その結果、生々しくぞっとするような夢とともに夢内容に伴う精神活動が行動面に表出され、寝言、大声で叫ぶ、寝具をまさぐるなど夢幻様行動やベッドから飛び出す、暴力などの異常行動を示します。
本人には睡眠中におこったようなエピソードの記憶はありません。
レム睡眠行動障害の確定診断にはポリソムノグラフィーが必要です。
このタイプの認知症は、周辺症状に対して、ごく少量のお薬、一部の漢方薬やサプリメントが効きやすい傾向があります。
★一番、低栄養が多い認知症のタイプは、レビーです。
Roque, M., Salva, A., & Vellas, B. (2013). Malnutrition in community-dwelling adults with dementia (NutriAlz Trial).The journal of nutrition, health & aging,17(4), 295-299.。
日本認知症ネットワーク 奥平智之
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