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執筆者の写真奥平智之

次亜塩素酸ナトリウムは、アレルギー素因がある人は注意

更新日:2020年6月16日


何らかのアレルギー素因を持っている方は、次亜塩素酸ナトリウムで反応することがあるので注意しましょう。

はじめは、問題なかった人も、次亜塩素酸ナトリウムへの繰り返しの暴露、刺激により、発疹がみられることがあります。

これは、塩素のみによる直接的なアレルギーではありません。

しかし、塩素は、気道などを刺激および感作することにより、間接的にアレルギーに寄与する可能性があります。

塩素刺激に過敏になると、湿疹が生じる人がいます。具体的には、かゆみを伴う隆起を伴う皮膚炎などがみられます。


塩素に曝露した後に入浴や洗い流しても、塩素の一部の要素が皮膚に残る可能性があります。


新型コロナウイルスの感染予防で様々なところで使われている次亜塩素酸ナトリウム(ハイター)などの塩素系製剤は、塩素関連などのアレルギー反応を持っている方の使用は不向きです。

塩素製品の慢性的な暴露は、気道炎症および気道過敏症につながり、喘息の発症および喘息症状の悪化に関連する可能性があります。

5%次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)で溶液の自然気化ガスの慢性の低用量での塩素曝露の存在下でマウスの実験からの報告です。

Th2サイ​​トカインIL-4・IL-5および炎症性サイトカインIL-1β・IL-33の発現が増加しました。

マクロファージのインフラマソーム経路に関連する主要分子を活性化し、Th2優位のアレルギー性炎症につながります。

※インフラマソーム(inflammasome)・・・主に自然免疫細胞を中心に発現し、感染や傷害に伴う危険シグナルに応答して炎症の惹起を制御する細胞内の分子複合体のこと。

Kim, S. H., et al. Chronic low dose chlorine exposure aggravates allergic inflammation and airway hyperresponsiveness and activates inflammasome pathway. PloS one, 2014;9(9).

入浴水中の遊離残留塩素はアトピー性皮膚の角質層の保水力を低下させます。

一部のアトピー性皮膚炎の患者は、プールで頻繁に泳ぐことにより、皮膚が乾燥したり、皮膚の炎症が悪化したりします。この研究では、アトピー性皮膚炎患者の入浴水中の残留塩素が角質層の機能に及ぼす影響を調べ、効果を示す最低塩素濃度を決定しました。角質の保水力は、アトピー性皮膚炎患者の残留塩素濃度が0.5 mg/l以上で有意に低下しました(p <0.01)。

Seki, Taisuke, et al. Free residual chlorine in bathing water reduces the water‐holding capacity of the stratum corneum in atopic skin.The Journal of dermatology 30.3 (2003): 196-202.


〈対策〉

塩素にさらされる前後にシャワーを浴びること。洗い流さずに、塩素が含まれている皮膚にローションを塗ると、刺激が起こり、逆効果です。ワセリンの塗布は、皮膚を塩素からのバリアになります。塩素による皮膚炎があるひとは、暴露を避けて刺激を減らすことが大切です。

※次亜塩素酸ナトリウムとは?

NaOCl (次亜塩素酸ナトリウム:強アルカリ性)+ H2O = HOCl(次亜塩素酸)+Na⁺ +OH⁻

酸性では極めて急激に分解反応を起こし、塩素ガスを発生します。

塩素系製剤中の「塩素Cl」は水溶液中で 次亜塩素酸(HOCl)の形で存在しています。

この次亜塩素酸(HOCl)は、非常に酸化力が強く、漂白や殺菌力が高いです。したがって、次亜塩素酸ナトリウムを希釈しないで、原液だと漂白・殺菌力は低くなります。次亜塩素酸ナトリウムは、酸化作用により金属類、繊維類のほとんどが腐食されます。

塩素にさらされると、目の粘膜が刺激されることもあります。時に、気道を刺激することがあり、咳やくしゃみ、喘息がでることもあります。

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