【鉄の吸収率は??】
経口から摂取する鉄の吸収率は、消化管における可溶化状態に依存することから、「鉄の溶解性を高めること」が吸収率を上げることにつながります。
しかし、通常の食品に含まれる鉄は、pHが低い胃内では可溶化状態を保つことができますが、吸収部位である腸管に移行すると、膵臓から分泌される弱アルカリ性の重炭酸イオン(HCO3-)の影響で「水酸化第二鉄」となって不溶化し、吸収率はわずか「10%」程度になってしまいます。(Hallberg, L., Bioavailability of dietary iron in man. Annu. Rev. Nutr., 1, 123-147.1981. )。
このように鉄の生体利用率は非常に低いため、必要量に比べて多い量を摂取する必要があります。
特に女性は鉄欠乏に注意しましょう。 女性の場合は、月経による出血量が60mlを超えると「平均0.63mg/日」の鉄を損失することになり、月経外損失量と合わせると総鉄損失量は1.35mg/日となります。
ちなみに、鉄吸収量は体内の鉄貯蔵量が少ないと増加します。 逆に、鉄貯蔵量が多ければ吸収率は低下します(Institute of Medicine. Food and Nutrition Board. Dietary Reference Intakes for Vitamin A, Vitamin K, Arsenic, Boron, Chromium, Copper, Iodine, Iron, Manganese, Molybdenum, Nickel, Silicon, Vanadium and Zinc. Washington, DC: National Academy Press, 2001.)。
鉄の腸から吸収は、生体の厳格なシステムによって適切に調節されています。
参考 川上浩:新しい鉄可溶化素材としてのラクトフェリンの有用性;日本食品科学工学会誌, 第51巻, 第11号, 2004
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