多くの栄養素は、最小単位としての吸収可能な分子への最終分解(最終的な消化)は、「膜結合酵素」を介して小腸の「微繊毛」において行われます。
これら酵素の活性基は腸の管腔側に集まっています。 そのため、栄養素が小腸の細胞に近づくと、栄養素を完全に消化できます。
亜鉛やビタミンD、タンパク質などの栄養素が不足していると、この吸収に大切な「微絨毛」は萎縮して、吸収面積が減ってしまいます。
実際の消化には 3つの経路があります。
①担体経路 担体(トランスポーター:輸送体と呼ばれるタンパク)を通じて特定の分子や原子が吸収されます。 この時、ATP が消費される場合と消費されない場合があります。
②H20経路 粘膜による水分の吸収。 吸収は小腸上部で比較的高く、先に進むにつれて低くなります。
③脂質経路 脂に溶ける物質は腸細胞の脂質二重層膜を直接通過することができます。 例えばミセルの構成物質で、独自では腸細胞に入ることができない物質などが、この経路により吸収されます。
脂質膜を通る輸送は、濃度勾配の方向に従った純粋に受動的な拡散作用です。 細胞の内部では、栄養素は濃度勾配に沿って受動的に移動することもあれば、能動的に輸送される場合もあります。
腸管の毛細血管に取り込まれた後、栄養素は腸間膜の静脈を通して搬出され、 肝門脈に行き、肝臓へ到達します。
吸収された栄養素は、渋滞が起きないように、肝臓での代謝は逐次行われます。
脂質の吸収には他にない特徴があります。
脂質はその大部分が腸細胞内でカイロミクロンに組み込まれ、腸のリンパ系の一部となり、大静脈に入ります。
つまり、脂質は肝臓を経由することなく、全身循環に行きます。
腸には高い適応能力が備わっているため、腸の一部を切除したとしても、ほかの部分が適応し、すべての栄養素の十分な吸収が可能となっています。
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奥平 智之
日本栄養精神医学研究会 会長
医療法人 山口病院 副院長
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