問題行動への対処の仕方→「◯◯さんらしくないなあ」
メンタルの患者さんが暴力や暴言や自傷など、トラブルを起こした場合、医療者はどのように対処しているのでしょう?
多くの場合、本人にとって腹立たしい理由はあったにせよ、本人は「良くないことしてしまったかも」「ちょっとやりすぎだったかも」といった多少なり自覚はあるものです。
でも素直に応じるのも自分のプライドもあるし、嫌だ、と意地を張っていることが多い。 そんな時に「えー、どうしたんですか?◯◯さんらしくないなあ。」と声をかけてあげれば、それは相手を否定していることにはなりません。
いつもの◯◯さんには似つかわしくない言動をしたからには、相応の事情があったから、と「いつもの本人は違う」という形で逃げ道を与え、そのうえで事情に耳を傾ける用意があるよ、という姿勢を示していることになります。
ときには「私らしいって、どんなのが私らしいんですか!」と言い返してくる人もいます。そのときは相手の良い側面を述べたあと、欠点を遠回しに伝えます。 こうして、相手に対する客観的なイメージを語ることを通して、信頼関係を構築のきっかけにしていきます。
リストカットなど自傷する人の場合は、まずは痛くない?とか、手当てを手伝ってあげたりして、こちらが相手を気づかっている旨のメッセージを発します。きちんと共感したあとで、「ほんとうにつらかったんだろうけど、自分を傷つけるなんて◯◯さんらしくない」と伝えます。
次回、「◯◯さんにはもう少し器用に、賢く世間を生きてほしい」といった話題でおはなしをするときの伏線にもなるでしょう。
「◯◯さんらしくない」をとっかかりにして、パーソナリティーが未熟な人に対しては、相手が、見捨てられ不安、リストカットなどの行動化にいたった何らかのエピソードに対して、第3者的な立場でドライな感じで調子で、振る舞ってみるのもひとつのやり方でしょう。
「世間一般の人は、こういう風に考えるかもしれません」「良い悪いは別にして、日本のシステムでは〜」などと、価値判断をいれないで解説する。
どのケースでも、相手に逃げ道を与えつつこちらが親身になっているトーンを醸し出せるところに「◯◯さんらしくないなあ」のメリットがあります。
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奥平智之
日本栄養精神医学研究会 会長
医療法人 山口病院 副院長
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