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執筆者の写真奥平智之

次亜塩素酸ナトリウムの長期使用による潜在的な健康への悪影響とその対策


新型コロナウイルスの感染予防で日常的に使用されるようになった次亜塩素酸ナトリウム。

感染リスクの時期が長引くと、必然的に私たちは長期に、次亜塩素酸ナトリウムに触れる環境になります。長期暴露により、潜在的な体への影響はないのでしょうか?

長期曝露は、①皮膚の刺激、②皮膚の損傷、そして、③皮膚過敏症などを引き起こす可能性があります。

そのような曝露は、「即時型または遅延型の皮膚反応」を引き起こす可能性があります(Huynh Tuong, A.et al. Emergency management of chlorine gas exposure–a systematic review. Clinical Toxicology, 2019; 57(2): 77-98. )。

次亜塩素酸ナトリウムで「アレルギー反応」を引き起こすことが知られており、過敏症の人がいます(Kaufman, A. Y., & Keila, S. Hypersensitivity to sodium hypochlorite. Journal of endodontics, 1989;15(5): 224-226. )。

外来の患者さんでも、目・鼻・のどに刺激を感じる人もいます。もともとアレルギーの素因をもつ人、つまり、気管支喘息・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎の人で症状が悪化することもあります。

次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、家庭用漂白剤の有効成分ですが、「酸化剤」です。

NaOCl + H2O(水) = HOCl(次亜塩素酸)+Na+ +OH-

次亜塩素酸ナトリウム+水=次亜塩素酸+ナトリウムイオン+水酸化イオン

このように、水溶液中では、「次亜塩素酸」として存在しています。

水溶液中の「次亜塩素酸」が持つ『強力な酸化作用』により殺菌します。

つまり、「活性酸素」を生成し、活性酸素により菌の酸化的損傷や細胞死を引き起こすということです。

そのため、次亜塩素酸ナトリウムが、「上気道などの粘膜や皮膚と接触しないように」する必要があります。

「酸化」って何でしょう?

例えば、食品が酸化すれば劣化して品質や風味が落ちます。りんごを切って置いておくと、茶色に変色してしまいます。鉄が酸化すればサビますね。

生化学的に説明すれば、「酸化」とは、対象とする物質が電子を失う化学反応のことです。具体的には、物質に酸素が化合する反応、あるいは、物質が水素を奪われる反応です。

次亜塩素酸ナトリウムは、水溶液は強アルカリ性ですが、強い酸化力を持つため、金属に使用するとサビにつながります。

過敏症や症状軽減には、塩素製剤からの慢性的な暴露をなるべく減らすしかありません。

潜在的なカラダの『酸化』を進行させないためには、その逆、様々な『抗酸化』です。


抗酸化対策では食事は、「抗酸化食材」が大切。

カロテノイド類(ビタミンA)がそうです。

ニンジンや小松菜、シソ、パクチーなどのβカロテン。

トマトのリコピンや、ケールやブロッコリーのルテイン、鮭のアスタキサンチンなどもカロテノイド類です。


また、

レモンやパプリカなどに含まれるビタミンC。


うなぎやアボガドやナッツのビタミンEですね。


そして様々なポリフェノール類、例えば緑茶のカテキンや、シナモンのクマリン、柑橘類の皮のヘスペリジンなど。

(奥平式うつよけレシピp49より)


私たちの体内で酸化を防ぐ働きをする様々な抗酸化酵素の活性化には、タンパク質代謝が良いことも大切です。そして、マグネシウムや亜鉛などのミネラルも大切です。

抗酸化対策の生活では、よく寝て、たばこ・酒を控えて、ストレスを減らすことです。

このような抗酸化対策は、『細胞の酸化(老化)』を減らします。

コロナ感染予防対策として次亜塩素酸ナトリウムを使うときは、換気や使用量を守り、十分注意して適切に使用する必要があります。使い方を間違えると、健康被害につながります。

低濃度であっても、長期にわたる慢性的な暴露は、健康に対して潜在的な悪影響を及ぼす可能性があります。

特に、アレルギー体質の人は注意。塩素系製剤に過敏な人は暴露を減らしましょう。







食事栄養療法倶楽部「うつよけレシピ」


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