亜鉛は、細胞分裂に欠かせないミネラルです。『細胞分裂ミネラル』
そのため、亜鉛が欠乏すると、細胞の入れ替わりのはやい、味を感じる細胞やにおいを感じる細胞に障害が出てきます。
その結果、『味がしない』『においがしない』ということになります。
味覚と嗅覚は、それぞれ別の受容体で別の感覚ですが、密接に絡み合っています。
食べ物の中に含まれる味覚物質は、味蕾(みらい)という感覚細胞によって検出されます。
刺激されると、これらの細胞は脳の特定の領域に信号を送り、『味』を認識させます。
同様に、鼻の特殊な細胞は、匂い物質、空気中の匂い分子を拾います。
そして、匂い物質は、鼻の屋根をおおっている粘膜感覚細胞の先端にある繊毛(じゅうもう)の受容体を刺激します。これらの感覚細胞の軸索は、上にある骨の穿孔を通過し、脳の前頭葉の下側に横たわっている2つの細長い嗅球に入ります。
最終的には、味と匂いに関するメッセージが収束し、食品の味を検出できるようになります。
(BrainFacts / SfNより)
亜鉛欠乏は、炎症や酸化の促進につながり、新型コロナウイルス(COVID-19)対策においても重要なミネラルと言えます。亜鉛は、『抗炎症ミネラル』『抗酸化ミネラル』と言えます。
嗅覚や味覚の低下は、感染症ウイルス感染後に発生することが知られており、通常、鼻腔のウイルス感染と副鼻腔炎に関連しています。Machado C, Gutierrez JV. Anosmia and Ageusia as Initial or Unique Symptoms after SARS-COV-2 Virus Infection. Medicine & Pharmacology. 2020.
COVID-19の場合、これは、発汗、食欲不振、嘔吐、下痢、炎症、および酸素欠乏による代謝要求の増加など、亜鉛欠乏のリスクをさらに高め、亜鉛の需要増をもたらします。
また、亜鉛は、皮膚のバリア機能、リンパ球の遺伝子調節、および好中球やナチュラルキラー細胞などの非特異的免疫を媒介する細胞の正常な発達と機能にとって重要です。Shankar AH, Prasad AS. Zinc and immune function: the biological basis of altered resistance to infection. Am J Clin Nutr. 1998;68:447S–63S.
おそらくCOVID-19に最も関連しているのは、重度の亜鉛欠乏症がリンパ球減少症とリンパ球のアポトーシスの増加を引き起こし、免疫低下につながることです。
さらに、重度のCOVID-19の症状に関連して、亜鉛は抗炎症剤であり、炎症性サイトカインおよび酸化ストレスバイオマーカーの産生を減少させます。
COVID-19において重要性が唱えられているビタミンDは、亜鉛の恒常性を調節していると考えられています。
Claro da Silva T, Hiller C, Gai Z, Kullak-Ublick GA. Vitamin D3 transactivates the zinc and manganese transporter SLC30A10 via the Vitamin D receptor. J Steroid Biochem Mol Biol. 2016;163:77–87.
★新型コロナによる嗅覚障害・味覚障害は、亜鉛による回復は期待できません。
Thomas S, et al. Effect of High-Dose Zinc and Ascorbic Acid Supplementation vs Usual Care on Symptom Length and Reduction Among Ambulatory Patients With SARS-CoV-2 Infection: The COVID A to Z Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2021;4(2):e210369.
しかし、亜鉛欠乏による嗅覚・味覚障害を併存している人もいることが想定され、そのような例においては症状の一部緩和が期待できるかもしれません。
現在の亜鉛の臨床測定値は、細胞内の亜鉛レベルを正確に反映していないものの、血液検査で、亜鉛の血中濃度を測定しておくことは、大切です。
Joachimiak, M. P. (2021). Zinc against COVID-19? Symptom surveillance and deficiency risk groups. PLoS neglected tropical diseases, 15(1), e0008895.
●まとめ
新型コロナ対策、免疫力の維持に、亜鉛は大切。
感染によって亜鉛の必要量も増える。
『メンタルヘルスは食事から』『感染対策は食事から』
日本栄養精神医学研究会 奥平智之 資料
Dr.奥平智之 ホームページ
https://www.dr-okudaira.com に登録されている方には、不定期に栄養スライドを差し上げております。
栄養型うつ うつぬけ うつよけ 鉄欠乏女子(テケジョ) https://amzn.to/2uv1wju
Facebook友達申請時は、必ず自己紹介をお願い致します
Comments