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  • 執筆者の写真奥平智之

「便秘」は、認知症の始まりかも・・・腸から始まる認知症〜レビー小体型認知症の早期発見〜便秘、嗅覚、うつ:α-シヌクレインとは?

更新日:2021年6月9日




あなたの「便秘」は、認知症の始まりかも‥

腸から認知症がはじまることがあります。


はじめに腸管神経叢(アウエルバッハ神経叢)にレビー小体ができて、それからレビー小体が迷走神経を介して脳に伝染する可能性が報告されています。「レビー小体型便秘」 Lewy body constipation と呼ばれています。


レビー小体の主要な構成成分は、凝集して変異した「α-シヌクレイン」というタンパク質です。これは、神経細胞のミトコンドリアの電子伝達系の機能を低下させ、神経変性を起こしやすくします。α-シヌクレインの凝集は、微小管障害、シナプスおよびミトコンドリアの機能不全、酸化ストレス、ならびにカルシウムシグナル伝達、プロテアソームおよびリソソーム経路の調節不全など、さまざまな細胞障害につながる可能性があります。


凝集したα-シヌクレインは、過酸化脂質に特異的な活性があり、ニューロンと星状細胞の両方の膜で脂質の酸化を誘導し、アポトーシスに対する耐性を低下させます。つまり、細胞が死にます。


脳では、本来、変異していないα-シヌクレインは主に神経細胞の先っぽ(シナプス前終末)にあります。本来のα-シヌクレインは、膜のリン脂質の抗酸化に関与している可能性があります。シナプス前終末は、シナプス小胞から、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出するところですので、神経の情報伝達に大切な役割を果たしています。

本来のα-シヌクレインは認知機能の正常な発達に不可欠です。例えば、α-シヌクレインの発現を標的に不活性化したノックアウトマウスは、空間学習と作業記憶の障害をひきおこします。



①慢性炎症→②リーキーガット、α-シヌクレイン が発現↑凝集↑・迷走神経を介して腸から脳に伝染→③リーキーブレイン→神経変性を引き起こす神経炎症を促進

感受性の高い人では、炎症の引き金が腸内で免疫応答を開始し、微生物叢に悪影響を及ぼし、腸の透過性を高め、α-シヌクレイン の発現と凝集の増加を誘導します。α-シヌクレインーは、迷走神経を介して腸から脳に伝染する可能性があり、慢性的な腸の炎症と透過性は全身性炎症を促進し、とりわけ血液脳関門の透過性を高める可能性があります。腸の炎症、全身の炎症、脳の凝集したシヌクレインの病態はすべて、神経変性を引き起こす神経炎症を促進する可能性があります。

Houser, M. C., & Tansey, M. G. (2017). The gut-brain axis: is intestinal inflammation a silent driver of Parkinson’s disease pathogenesis?. NPJ Parkinson's disease, 3(1), 1-9.





◎レビー小体型認知症は、物忘れの症状が出る前から、便秘、嗅覚障害、うつ症状、レム睡眠行動障害、立ちくらみなどの症状がみられることがあります。


例えば、うつ病が発症したと思ったら、実はレビー小体型認知症の前駆症状だったということもしばしば経験します。

レビーでは、薬剤の過敏性が出やすいので、ごく少量の抗うつ薬で、ひどい副作用がみられる、というのが典型例です。


レビーに典型的な症状である「幻視」「パーキンソン症状」がみられるまでに、上記のような症状がみられることが多いので、早期発見の一助になります。


表の研究では、レビー関連の症状は、記憶障害の発症前または発症時に、レビーが疑われる患者 90 人中 79 人 (87.8%) に見られました。これらの症状は、記憶障害の発症に先行して1から9年前からありました。


●まとめ

「便秘」「嗅覚がおかしい」「うつ」は、認知症の始まりの可能性があります。

レビー小体(凝集したα-シヌクレイン)は、腸から始まります。



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「メンタルヘルスは食事から」 日本栄養精神医学研究会 奥平智之 作成

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