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執筆者の写真奥平智之

なぜ??鉄欠乏による免疫力の低下(鉄欠乏の人の感染予防)

更新日:2021年3月4日



生理がある女性、成長期の子ども、アスリートは、鉄欠乏のリスクが大です。

また、コロナ感染対策で亜鉛サプリを飲んでいる人も多いと思いますが、長期過剰摂取は鉄欠乏の原因になるので注意。

鉄は、免疫系の細胞の増殖に欠かせないミネラルです。

鉄欠乏症は、自然免疫および細胞性免疫の低下に関連しており、それによって感染のリスクが高まります (Kumar, V., & Choudhry, V. P. (2010). Iron deficiency and infection. The Indian Journal of Pediatrics, 77(7), 789-793. ) 。

自然免疫とは、その人が生まれながらにもっている免疫のことです。細胞性免疫とは、感染することで身についた特異的な免疫のことです。

自然免疫は、感染防御の最前線です。皮膚および粘膜表面の細胞を含む免疫細胞は、数分から数時間以内に急速に活性化されます。病原体が侵入してきたら、まずは好中球やマクロファージなどの貪食細胞は病原体をそのまま飲み込んで、貪食細胞の中にある酵素で病原体をやっつけます。どのような病原体であっても相手を選ばずに攻撃するので、「自然免疫(非特異的免疫)」と言います。

次に、自然免疫でやっつけられなかった病原体に、敵の情報をもとに、T細胞や抗体などが病原体に対して特異的に強力な攻撃をしかけます。この戦いで病原体をやっつけられないと「発病」してしまいます。

好中球は、「ミエロペルオキシダーゼ」という病原体を消化する酵素をもっています。この酵素はヘム色素を持ち、大量に分泌されると膿や粘液を緑に染めることがあります。このミエロペルオキシダーゼは次亜塩素酸を作りますが、この時に「鉄」が補因子として必要になります。これが、鉄が足りないと自然免疫が低下してしまう理由です。

さらに、鉄欠乏だと、免疫反応の司令塔とも言える「T細胞」が減少し、T細胞の分化・成熟をつかさどる「胸腺」の萎縮にもつながります (Bowlus, C. L. (2003). The role of iron in T cell development and autoimmunity. Autoimmunity reviews, 2(2), 73-78. ) 。これが、鉄欠乏による細胞性免疫の低下です。

また、鉄欠乏は、「コラーゲン」の生成に欠かせません。鉄欠乏では、免疫に重要な皮膚や呼吸器系のコラーゲンが弱くなります。

感染して発熱すると、インターロイキン-6(IL-6)、TNFα、IL-1を含む炎症性サイトカインは、ヘプシジン(鉄代謝調節ホルモン)を上昇させ、鉄を腸から吸収させないようにします。

鉄欠乏の人における鉄補給は、あくまで「予防」においてのみ有効です。感染したかも・・と思ったら、鉄サプリは中止してください。

鉄欠乏の人は、タンパク質をしっかり摂取しましょう。鉄が豊富な肉や魚に、酸味のあるものを添えて摂取すると吸収率が増します。


感染対策には、栄養状態を最適化して免疫力を高めておくことが大切です。


日本栄養精神医学研究会 奥平智之 作成


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