【女性の血糖コントロール】
①妊娠
妊娠は、「糖尿病になりやすい状態」になります。 母体は、インスリン抵抗性を増大することによって「胎児への栄養供給を維持しているから」です。
胎盤からインスリン作用に拮抗するヒト胎盤ラクトーゲン,プロゲステロン,エストロゲンなどが産生されるため、インスリン抵抗性が増大します。
妊娠中においてはそのインスリン抵抗性を代償するために「膵β細胞容積の増加」と「インスリン分泌の増加」が起こります。
・・・・プロラクチン受容体活性化を介してセロトニン合成の増大により膵β細胞の増殖が刺激されるシステム
しかし母体のインスリン分泌予備能が低下していると平衡をくずして糖代謝異常が出現してしまいます。
胎児への栄養補給にインスリン抵抗性は必要なのですが、インスリン抵抗性が過度になってしまうと、 母体の妊娠糖尿病を発症し、胎児の発育と成長に悪影響をおよぼしてしまいます。
出産後には、胎盤の排出とともにインスリン抵抗性が減じるため耐糖能は正常化します。
②閉経
インスリンの分泌低下とともに末梢組織でのインスリン感受性の低下をきたします。
さらに更年期の女性では運動不足や体重増加の因子も加わり血糖コントロールが増悪します。
★エストロゲン・・・・糖代謝に関与。エストロゲンが
①増加する妊娠後期や
②低下する閉経期では糖代謝に悪影響をおよぼします。
⇒妊娠後期で認められる高濃度のエストロゲンは耐糖能異常を引き起こすのですが、生理のある女性での生理的濃度のエストロゲンは、耐糖能異常から防御的に働きます。
※食欲とエストロゲン※
エストロゲンはレプチンと同様に視床下部を介して食欲を抑制します。
・・・体脂肪量を低下させ、エネルギー消費を上昇させます。
★性周期の低温期と高温期 インスリン感受性の良好な時期と不良な時期があります。
黄体期(高温期)
・・・インスリン分泌が増大。「月経前に血糖が上昇する」パターンをとります。
参考 奥山朋子他, 糖尿病における性差医療①血糖, 糖尿病, 56(8):522~524, 2013
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奥平 智之
日本栄養精神医学研究会 会長
医療法人 山口病院 副院長
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