亜鉛不足がビタミンAの吸収・輸送を妨げる理由
- 奥平智之

- 7月18日
- 読了時間: 2分
ビタミンAの利用障害の陰に“亜鉛不足”が隠れているかもしれません。
実は、亜鉛はビタミンAの吸収・代謝・輸送すべてにおいて極めて重要な役割を果たしています。亜鉛が低下すると、ビタミンAは“体内で機能しにくくなる”のです。代表的なメカニズムは以下のとおりです。
1. レチノール結合タンパク質(RBP)の合成障害
ビタミンA(レチノール)はRBPと結合して血中を輸送されます。このRBPの合成に亜鉛が必要であり、亜鉛が欠乏すると、血中ビタミンAが運搬されず、機能しません。
2. 亜鉛依存性酵素の活性低下
ビタミンAの代謝に関わる「レチノールデヒドロゲナーゼ」は亜鉛依存性酵素です。亜鉛が不足すると、この酵素が働かず、ビタミンAが活性型に変換されずに終わってしまいます。
3. 肝臓での貯蔵と動員の障害
ビタミンAは肝臓に貯蔵されますが、必要時に血中へ放出される過程にも亜鉛が関与します。亜鉛が不足すると、肝臓からのビタミンAの動員も滞ります。
このように、亜鉛は単なる“微量元素”ではなく、ビタミンAの機能維持の鍵を握る存在です。
臨床では、鉄欠乏やビタミンA欠乏を疑って治療しても改善が乏しい場合、実は「亜鉛欠乏が併存していた」ケースにしばしば遭遇します。
栄養精神医学の観点では、ビタミンAは粘膜保護や免疫機能の維持、さらには情緒の安定にも関与します。不安・うつ・過敏性などの精神症状の背景にある潜在的な欠乏であることも少なくありません。
そのため、鉄やビタミンAと同時に、亜鉛の評価もセットで行うことが、より精度の高い臨床判断につながると考えられます。
ビタミンAと亜鉛は“二人三脚”。どちらが欠けても、治療は前に進みません。

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